サラリーマンが投資で1億円を目指す道中記

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【ICO・クラウドファンディング】資金調達の方法は株式からICOへ

今流行のICO/トークン・クラウドファンディングがもっと活発になれば、今の株式会社という枠組みは無用の長物になるかも?今日はそんな話です。

 

 

 

 

1 株式会社とは?

 

例えば、Aさんは船を航海させて遠い国の宝石・香辛料を取得して帰国できる能力があるが、それを遂行するための金がなく、他方、Bさんが他人に融通できるだけの財産があるが、プロジェクトを遂行する能力がない場合、Aさんの能力・Bさんの財産は社会的に有効活用されていないことになります。

 

 

ここに、AさんがBさんから財産を提供を受け安定的にそれを利用できるルールがあれば、社会はより良くなっていきます。

 

 

このルールが会社法というルールです。会社法は、株式会社に関するルールを主に定め、株式会社があたかも一人の人間であるかのように取引できるように設計されています。さらに、株式会社の利害関係人である、株主、取締役などの役員(以下では取締役のみ扱います。)、そして会社の取引先のそれぞれの利益を調整する仕組みを定めています。

 

 

簡単にですが見ていきましょう。

 

 

 まず出資についてです。

 

 

会社法には、株式を発行して資金調達をする仕組み、および、払い込まれた財産を利用して役員が事業を遂行するにあたってのルールなどが定められています。

 

 

出資者は、出資金を払いこむ代わりに株式を取得します。株式の理解として重要な点は自由に譲渡することができ、株主は、株式を譲渡することによって出資金を回収することが可能という点です。会社に株式を買い取ってもらうことは、原則的にできません。取締役が安定的に経営を遂行したり、取引先が出資財産を当てにすることを確保するためです。

 

 

株式を取得した人を株主と言いますが、株主(Bさん)は、基本的には会社の経営に関わりません(関わることもできます)。会社の経営は専門家たる取締役(Aさん)にお願いすることになります。取締役は、会社を代表して、取引先と契約を締結したり、事業を運営したり、他の会社を買収したりして、会社の利益のために働きます。

 

 

 

しかし、歴史的に見て、取締役は、会社を代表するという大きな権限と株主から出資された財産を利用して経営を遂行しますが、他人の財産であることをいいことに取締役が無茶苦茶なことをしがちです。そのため、取締役・会社は、貸借対照表損益計算書などを作り、出資者たる株主に経営の報告・承認を得なければなりません。また、会社の重要な情報は第三者にも開示されなければなりません。取引先などの第三者の保護のためです(貸借対照表などは開示が義務付けられている)。会社の存在は、株主・取締役以外にも取引先などに影響を与えるからです。御用達の会社が倒産した時、連鎖的に取引先も倒産するというのは珍しい話ではありません。

 

 

このように株主の権利、取締役への義務、取引先の保護などを定めることにより、社会にある活用されていない財産を能力のあるものに活用させるためにそれぞれの利害関係を調整する仕組みが株式会社という制度です。

 

2 クラウドファンディング

 

インターネットサービスが発達していないとき、他人から資金を集める法的スキームが株式会社しかありませんでした。

 

 

では、今はどうでしょう?ある夢・プロジェクト(これらを達成することも起業の一つと考えています)を実行するための資金調達の手段として、まずクラウドファンディングが候補となります。

 

 

campfire、ready for、Makuake、kickstarterなど、今では様々なクラウドファンディング事業者がサービスを提供しています。クラウドファンディングとは、不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを指し、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語であります。私の考えるクラウドファンディングの利点は、資金を集めるためにガチガチに理論武装したビジネスプランを考える必要がない点です。

 

  

クラウドファンディングのプロジェクトには、達成したい夢をその背景・ストーリーとともに記載されていることが多いです。「このプロジェクトが実現できたら素敵だなー」とか「夢のある企画だなー」という感想を持たせるプロジェクトは、プロジェクトはの特典の価値にかかわらず、多額の出資を集めやすい傾向があります。クラウドファンディングにおける出資の重要な動機は、そのプロジェクトの「背景・ストーリーへの共感」です。他方、プロジェクトには出資額に応じて特典・返礼品が提供されることが多いですが、言葉を選ばずに言えば、それらが出資の額に見合うものとはいえないもの多いように思います。しかし、多額の出資に集めるプロジェクトが多数存在します。出資を集める理由は、特典・返礼品が出資額以上の価値を持つという思考ではなく、先にも述べました「背景・ストーリへの共感」だと思います。

 

 

株式会社、特に第三者(以下ではベンチャーキャピタル)はどうでしょうか。

 

 

ベンチャーキャピタルは、ビジネスとしてベンチャーに出資をします。出資が黒字にならなければいけません。そのため、ベンチャーキャピタルは、起業するプロジェクトのビジネスプラン・財務状況を精査する必要があります。もちろんこれを非難するつもりはなく、当然のことです。とは言っても、起業をする人は、事業によって実現したい未来の実現に夢中な人が多く、なかなかビジネスプラン・ベンチャーキャピタルの出口戦略まで気が回る人は少ないです。

 

 

この点、クラウドファンディングでは、(ビジネスプランが全くの嘘・実現可能性が著しく低いなのは言語道断ですが、)隙のないガチガチの理論武装は、不要です。なぜならば 、出資を呼び込む主たる要因は「共感」だからです。

 

 

3 ICO

ICOとは、Initial coin offeringと呼ばれる資金調達で、世界的に注目されています。そのスキームは、電子的にトークンを発行して資金調達をすることは共通していますが、その内容は一様ではありません。トークンとして発行されるものは、必ずしも仮想通貨に限られません。そのため、トークンの内容は、実務上、ホワイトペーパー(white paper)で明らかにされ、投資家はその内容を吟味・検討し、出資します。

 

 

また、トークン発行者も、法人、個人だけでなく、都道府県、国までありえます。代表的な例は、オンライン・電子国家化において先進的なエストニアです。エストニアは、エストコインという仮想通貨を発行すること、ICOを検討していることを公表しています。

e-resident.gov.ee

 

 おそらくではありますが、エストニアは、電子住民制度とエストコインを組み合わせ、電子住民とエストコイン保持者に有利な税制などを持ちかけ、エストニア外資を呼び込もうとしているのではないでしょうか。

 

 

さて、日本においては、株式上場のルールを定める金融商品取引法のうような、ICOのルールを定める法律はありません。これは、煩雑な手続きがないというメリットもある反面、ICOの名前を利用した出資詐欺が横行しかねません。そのため、IPOのための幹事会社、弁護士、会計士、銀行などの様々なアドバイザーが携わりますが、その分コストがかかります。

 

 

他方、ICOの場合はこれらのコストが基本的には必要ありません。しかし、IPOで投資詐欺を防ぐ様々なルールがないことから、投資詐欺の危険があります。金融庁は、注意喚起を出し、ICOのリスクについて警鐘を鳴らしています。

http://www.fsa.go.jp/policy/virtual_currency/06.pdf

 

4 株式会社は必要か

 

株式会社・クラウドファンディングICOとも資金調達の手段にすぎませんので、どれが最も優れているというわけではありません。しかし、クラウドファンディングICOの実務が発展し、誰でも資金調達できる手段が多様化していくと、株式会社という法制度は、制度間競争を迫られるでしょう。当然、利用者により使いやすい制度への改正が求められることになります。

 

 

これに付随して、株式の上場を生業としていた投資銀行・証券会社などにも影響を与えます。資本主義の中で、大きなパワーを持っていました。それが仮想通貨の登場により、パワーが剥奪されつつあります。集中化していたパワーが個人に戻ってくることになり、今後はより小さな単位・個人がパワーを持つことになります。

 

 

今後は時代の流れにキャッチアップして必要があり、より勉強が重要になってきますね。

 

ICOクラウドファンディング】資金調達の方法は株式からICO